――それは、実印を「覚悟の道具」として渡したいから

実印(一級彫刻士完全手彫り)をご注文いただくと、
石原印房では必ず
桐箱・朱肉・印面マットをお付けしています。

実印・付属セット

「付属品が充実していてお得ですね」
そう言われることもあります。

ですが、正直に言えば、
お得感を出したくて付けているわけではありません。

むしろ逆です。

これは
実印を“正しく使ってほしい”という、
私自身の強い想い
からです。


実印は「彫った瞬間」に完成するものではない

実印は、
日常的に使う印鑑ではありません。

多くの方にとって、
人生で使う回数は
数回あるかどうか。

だからこそ、
実印は軽視されやすい。

  • とりあえず作る
  • とりあえず持っておく
  • とりあえず押せればいい

この「とりあえず」が、
あとで必ず後悔につながる
そういう場面を、私は何度も見てきました。

実印は、
彫られていればいいわけではありません。

正しく保管できるか
正しく押せるか
正しい印影が出るか

そこまで整って、
はじめて完成する道具です。


桐箱は「見た目」のためではありません

桐箱は、
高級感を演出するためのものではありません。

本来の役割は、
印鑑を守るためです。

実印は、
長い時間、使われずに保管されます。

その間に、

  • 湿気
  • 温度変化
  • 乾燥

こうした環境の影響を受けると、
印鑑は確実に傷みます。

引き出しに裸で入れる。
ビニールケースに入れっぱなし。

それでは、
いざというときに
本来の役目を果たせません。

桐箱は、
実印を長く、安定した状態で保管するための
最低限の環境です。


朱肉は「押せればいい」では足りない

実印を押す場面は、
人生の重要な契約書です。

住宅購入、相続、法人設立。
どれも、
やり直しのきかない書類ばかり。

そのとき、

  • かすれる
  • にじむ
  • 印影が弱い

これは、
印鑑以前の問題です。

どんなに良い実印でも、
朱肉が悪ければ、
その価値は発揮されません。

だから石原印房では、
「とりあえず付ける朱肉」は使いません。

どこに出しても恥ずかしくない印影が出ること
それを前提に選んだ朱肉だけを
お付けしています。


印面マットは「所作」を整える道具です

印面マットは、
軽視されがちな存在です。

しかし、
これがあるかないかで
印影は大きく変わります。

  • 力が入りすぎる
  • 印面が傾く
  • 文字が潰れる

印面マットは、
実印をまっすぐ、落ち着いて捺すための土台です。

実印は、
勢いで押すものではありません。

一呼吸置いて、
まっすぐ、
迷いなく捺す。

その所作まで含めて、
実印だと私は考えています。


「すべて揃っている」ことが、決断を支える

実印は、
人生の節目で使われます。

その場面で、
印鑑を手に取ったとき、

「これで大丈夫か?」
と迷いが生まれるのか。

それとも、
「これでいこう」
と自然に押せるのか。

その差は、
印鑑そのものだけでなく、
使う環境が整っているかどうか

決まります。

桐箱・朱肉・印面マットは、
付属品ではありません。

実印の一部です。


だから、印鑑だけは渡しません

**石原印房**では、
実印だけを
単体でお渡しすることはありません。

それは、
無責任だと思っているからです。

正しく保管できる。
正しく押せる。
正しい印影が出る。

その状態でお渡しして、はじめて
「この実印でいく」という覚悟を支えられる

そう考えています。


最後に

実印は、
人生の大切な場面で
静かに責任を背負う道具です。

だからこそ、
石原印房では
「印鑑だけ」を商品だとは考えていません。

正しく使える状態まで含めて、実印

桐箱も、
朱肉も、
印面マットも。

すべては、
どこに出しても
自信を持って捺せる実印

お持ちいただくためです。

それが、
私の、そして石原印房の
変わらない想いです。