こんにちは。群馬県みどり市の印鑑専門店、**石原印房(いしはらいんぼう)**です。
当店では、創業以来100年にわたり、一級印章彫刻士による完全手彫りの印鑑をお届けしてまいりました。

本日は、「印材の品質チェック」についてお話させていただきます。

一見すると同じように見える印材でも、
実際には一本ごとに表情が異なり、微細なキズや凹みが潜んでいることがあります。
それを見抜き、“安心して一生使える一本”を選び抜く目こそが、石原印房の誇りです。

こちらの傷は彫刻後に気づいた傷です。
写真だとわかりやすくなっておりますが、実際に気づいた時は、わずかに爪が
引っ掛かる程度でした。そういった印材は一切使用いたしません。

なぜ「印材の検品」がそこまで大事なのか?

印鑑は、多くの場合「一生に一度」の買い物です。
その一本が、人生の節目や法的手続き、家族のつながりを支える道具になります。

そのため、印材に欠けや亀裂、将来的に割れやすい構造的弱点があれば、
あとで「使えない」「登録できない」「大事な場面で欠けた」などのトラブルにつながる恐れがあります。

石原印房では、そのような事態を未然に防ぐため、
見た目だけで判断せず、素材の奥にある「質」を見極める検品を徹底しています。


石原印房の品質チェック項目(一部ご紹介)

以下は、実際に当店で行っている印材チェックの一例です:

1. 表面の目視検査

→ 素材に小さなヒビやシミ、欠けがないかをルーペで確認。
木目の流れ、色ムラ、年輪の偏りなども評価対象。

2. 指でなぞる触感検査

→ 光では見えにくい「浅い割れ」や「沈んだ凹み」を指先で探知。
象牙などの高級印材ほど、触感が重要な判断基準に。

3. 木口(印面部分)の繊維方向チェック

→ 木材(特に本柘)は繊維の流れで耐久性が変わるため、縦目か横目かを見極めて使用可否を決定。

4. 芯持ちかどうかの確認(特に黒水牛・白牛角)

→ 中心に芯が通っていない印材(芯ズレ)は反り・割れの原因となるため、石原印房では基本的に使用しません。

5. 加工中の反応観察

→ 実際に荒彫りを始めた段階で素材に異音や不自然な欠けが出た場合は即交換対応。


素材ごとに異なる“目利き”の基

それぞれの素材には、その特性ごとにチェックポイントがあります。
以下に、当店で主に取り扱う印材と、それぞれの品質管理ポイントをご紹介します。


🔹御蔵島本柘(みくらじまほんつげ)

  • 国産の希少な木材。繊維が細かく、彫りが非常に美しく出る。
  • 木目の方向を厳密に確認。柾目に近いものは安定性が高く、印材として優秀。
  • 白っぽすぎる個体や、樹脂加工が施されている粗悪品は選別から除外。

📝当店では「無漂白・無着色」の本柘のみを扱っています。


🔹黒水牛(芯持ち材のみ使用)

  • 東南アジア原産。密度が高く、耐久性・吸水性に優れる。
  • 必ず芯持ち(中心に芯が通っている)材を選定。芯ズレは不可。
  • ツヤと黒さの深みを見て、仕上がり後の美しさも考慮。

黒水牛の“見た目だけのツヤ加工”には注意が必要です。当店では加工方法も把握した仕入れのみを行っています。


🔹白牛角(しろうしつの)

  • 透き通るような美しさとしなやかさを持つ。
  • 気泡・斑点が入りやすいため、必ず光に透かして全体を確認。
  • 軽すぎる個体は加工後に変形しやすいため除外。

📝白牛角は「結婚記念」「出産祝い」など贈り物用途に人気が高く、特に見た目と耐久性のバランスが求められます。


🔹象牙(特上・横目のみ取り扱い)

  • 高級素材。重厚感と耐久性に優れる。朱肉との相性も抜群。
  • 石原印房では「特上」「横目」のみを使用し、「芯持ち」などの下位等級は取り扱いません。
  • 粒子の細かさ・緻密さ、輪模様の入り方まで確認し、試し彫りを経てから本彫刻に入る。

高級素材だからこそ、“素材の良し悪し”がそのまま仕上がりと耐久性に影響します。


安心して使える印鑑を、一生使っていただくために

石原印房では、こうした厳格な検品・素材管理のもと、印鑑を制作しています。
大量生産品やネット販売では「写真と実物が違う」という声を耳にすることがありますが、
当店ではお客様に直接、素材の質感や重みを確かめていただく機会も大切にしています。


お客様の声(一部抜粋)

「説明がとても丁寧で、印材を実際に見て触れたことで安心して選べました」(30代女性・実印)

「以前ネットで買った印鑑は欠けやすくて不安でしたが、こちらの手彫りは明らかに質感が違います」(40代男性・法人印)


品質の見えない部分まで、手を抜かないのが職人仕事

私たちが目指しているのは、「10年後にもう一度選ばれる印鑑」です。
それは、機械彫刻や量販品ではなかなか得られない“使ってわかる安心感”です。

だからこそ、
「使っても削れないか?」
「乾燥や湿気で歪まないか?」
「長年の朱肉にも耐えうるか?」
そうした部分まで想定して、一本一本の印材を選んでいます。


おわりに

印鑑は、単なる道具ではありません。
それは、**あなたの人生を支える“証”**であり、**未来の誰かに引き継がれる“しるし”**でもあります。

だからこそ、石原印房は「細かい傷も見落とさない」品質チェックで、
あなたの印鑑を、職人としての責任をもってお届けいたします。


📍店舗情報

石原印房(いしはらいんぼう)
群馬県みどり市大間々町大間々965
営業時間:9:00〜18:00(平日・土曜)
定休日:日曜・祝日
🐈看板猫:ぶっち店長(現在も気まぐれ出勤中)